ナラティブを聞く前に必要だったこと

ナラティブ・語り
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学生時代の臨床見学実習の時のことです。
ある男性患者さんの平行棒内歩行練習を見学していました。

当時の私は医学知識もほとんどなく、
患者さんに対して
「痩せていて筋力が落ちてしまっているんだな」
という印象を持っていました。

車椅子に座って休憩している患者さんに
「歩く練習がんばってますね。足はしんどいですか?」
と声をかけると、
その患者さんは、僕の足元をみて、

「靴が汚れてるぞ。医療者になるなら、綺麗な靴を履きなさい。」

とだけ言いました。

リハビリ後に、バイザーが、
「さっきの患者さんは、庭師をされてきた人で、
身なりも気になったんでしょうね。」
と教えてくれました。

その日の実習が終わると、その足で靴を買いに行きました。
そして次の日、あらためてその患者さんのリハビリの見学に行きました。

患者さんはニコッとして、
「おっ、靴が綺麗になっとるやないか。」
と言い、
それから、仕事や家族のことを話してくださいました。

あたりまえのことですが、
身なりを整えることは必要最低限のマナーです。

以前、医師の白衣が持つ象徴についてまとめました。

学生時代の僕には、
医学的な知識どころか、
社会人としての規範についても、
全くの無知でした。

実習生の私に患者さんは何を伝えたかったのか。
そう想像すると、
社会人とはどうあるべきか
医療者とはどうあるべきか
という問いを、
患者さんの立場から教えてくれたのだと思います。

ナラティブを聞くためには、
まず「聞くに足る場に、自分がいる」ことが必要なのだと思います。

あの日の自分は、
本当にその場に立てていたのでしょうか。

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