今回は、普段の臨床でもぜひ考えてほしい文脈について解説します。
※以前、医療とは関係のない内容ですが文脈について書きました。
医療における「文脈(context)」とは、単に病気や治療法だけでなく、患者の個人的な背景(生活習慣、価値観、文化、家族構成など)、医療者との関係性、社会的な状況を含めた全体像を理解し、それらを踏まえて医療を提供する視点や考え方
そして、「文脈依存性(Context-dependency)」といわれ、医療において患者の行動、症状、治療の効果が、その時々の状況、背景、環境、人間関係(文脈)によって変化すること
文脈を理解するのはどうすればいいのか解説します。
患者さんの病いの文脈理解に近道はありませんが、
重要なことは、あらゆる文脈で病いを考えることです。
X の文脈において、Y にとって Z が病気であることは

上記は、医療人類学者の星野晋先生(ナラティブ研究会のメンバー)が提案した患者理解の方法です。
X、Y、Zに当てはまる形で患者さんを考えます。
例えば、あなた自身が大腿骨頚部骨折を受傷してしまった場合、
X:日常生活 Y:家族 Z:あなた
日常生活の文脈において、家族にとってあなたが
大腿骨頚部骨折を受傷したことはどういうことか?
X:家計 Y:家族 Z:あなた
家計の文脈において、家族にとってあなたが
大腿骨頚部骨折を受傷したことはどういうことか?
あなた自身が大腿骨頚部骨折を受傷することで、あらゆる文脈で影響を受けることになります。
日常生活(身体機能面)において、あるいは家計(経済面)において、
上記のように当てはめて考えます。
文脈理解のステップ
図を活用する方法について説明します。
まずZを決める(臨床では目の前の患者が基本)
- Z=患者(あなたの例では「あなた」)
Yを増やす
臨床でよく使うYは次の4つです。
- Y=本人(生活者として/患者として)
- Y=家族(介護者・同居者・キーパーソン)
- Y=医療者(医師/看護師/PT)
- Y=制度・組織(行政/職場 など)
Xを変えて「同じ問い」を繰り返す
Xを変えるたびに、同じ患者(例えば、大腿骨頚部骨折)でも「病いの意味」が変わります。
まとめ
今回の病いにおける文脈理解の方法は、ナラティブ研究会の中でも、よく活用しています。
臨床では、私たちはどうしても
医学や臨床の文脈(X)× 医療者の視点(Y)に寄りがちです。
しかし、図を用いて病いを捉え直すことで、
- 家族にとっての病い
- 生活者としての本人にとっての病い
- 制度や社会の中で位置づけられる病い
が、同時に立ち上がってきます。
病いは、患者さんにとって、あるいは家族・社会にとっての意味が変わります。
今一度、目の前の患者さんにとっての病いをあらゆる文脈で理解していただけたらと思います。



コメント