アートは最強の医療教育ツール?

内省・関わり
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こんにちは。

本ブログは、ナラティブを大切にし、医学だけでなく、文化や社会から医療を考えています。

今回のテーマは、医学(サイエンス)と人文学(アート)の意外な関係です。

医療職は、理数系のイメージがありますよね?でも、臨床で働いていると、確かに理系脳のような方が多いですが、中には非常に文学的な方々も多くいる印象です。

今日は、理系が得意とか、文系が得意とかではなく、音楽や文学、演劇、ビジュアルアートに接するような医療者についてのお話です。

エビデンスとナラティブの両輪をうまく働かせるためには、普段からどのようなことを心がけたらよいのか、ヒントになるはずです。

ぜひ、最後まで読んでいってください。

“科学”と”芸術”は元々仲が悪かった。

 ”科学”と”芸術”は、100年以上にわたって分岐していました。

科学芸術
客観的主観的
再現性独創性
論理的感情的
計量的非計量的
科学と芸術の違い


このことは、客観的な判断を重要視する医療界においても同様でした。

しかしながら、最近では医学教育に人文学を積極的に取り入れて、医療者の心理・精神的な安定や、患者への共感力向上に繋げようとする流れがきています。

人文科学に接する医学生の方が、燃え尽き症候群になっていない傾向

2018年のアメリカの研究です。

全米の医学部生を対象に、

音楽、文学、演劇、ビジュアルアートなどの人文学に接している医学生の方が、

接する機会の少ない医学生に比べ、

共感性感情評価自己効力感が良好であった


と報告されました。


そして、人文科学に多く接する方で強く関連があった個人的な資質(人柄や性格的特徴、内的な強み・弱み)は、

不確実性への耐性(曖昧さへの寛容さ)”

“共感性”

“洞察力”
 でした。


私は、その中でも、“不確実性への耐性”に注目しました。

医療は不確実性に満ちています。

・予測できない病状の変化
・正解がひとつではない治療方針
・患者の価値観・語りの揺らぎ

など、明確な答えのない状況が日常的に存在します。

この不確実性にどう向き合うかは

燃え尽き症候群に代表されるような医療者のメンタルヘルスにも大きな影響を及ぼします。

人間味のある豊かな医療を提供する

岡山大学大学院で医学教育にも携わっている小比賀医師は

“日本の医学部では、問題解決能力や効率性を重視した教育がいまだに主流である”

と指摘しています。

機械的な医療者にならないように、

日頃から人文学に触れたり、楽しんだりすることが、案外、大切だったりするのかも知れません。

私は、昔から推理小説が大好きです。トリックを解こうと考えるのも、楽しいですが、容疑者と被害者の関係性や物語構造を知るのも一つの魅力だと思っています。

そこには必ず、人の弱さや葛藤があり、その複雑さを理解しようとすることが重要だと思っています。

まとめ

医学(サイエンス)と人文学(アート)の関係性について考えてみました。

人文学との関わりが、医療者の個人的な資質の獲得や燃え尽き症候群の予防に繋がっている可能性を示唆する研究が発表されてきています。

その中でも、人文学は”不確実性への耐性”という資質に関係しています。

医療の日常は、不確実性の連続です。そんな中で、心理・精神的安定性を保つためには、人文学との関わりが大切なのかも知れません。

医療の世界において、科学的知識だけでは捉えきれない領域があります。人文学(アート)を楽しみ接することで、人間味のある医療の提供につながるのだと私は思います。

本日も読んでいただきありがとうございました。

【参考文献】
1)Manglone S. et al: Medical students’ exposure to the humanities correlates with Positive Personal Qualities and Reduced Burnout: A Multi-Institutional U.S. Survey. J Gen Intern Med, 33; 628-634, 2018.
2)小比賀美香子:文学・芸術・哲学と医学教育ーより人間味のある医療をめざして.N:ナラティブとケア,12;30-36,2021.

T.A

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