“病い”と”疾患”

文化・医療人類学
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皆さんは、病気と疾患、病(医療人類学・医療社会学では病いと表記します)という言葉を聞いたことがあると思います。

この言葉にはどのような意味の違いがあるでしょうか?その意味の違いを明確に説明できますか?

まず、疾患とは英語でdiseaseとなります。これは、カルテに書かれている病名を表しています。つまり、医療(あるいは医療者)からみた病気です。例えば、高血圧症、糖尿病、脳梗塞というように。この場合は3つの疾患を抱えていることになります。さきほど英語でdiseaseを紹介しましたが、このdiseaseは可算名詞であり、疾患とは数量化可能な概念なのです。

それに対して、病いはillnessと表記します。こちらは不可算名詞であり、現象なのです。つまり、病いとは患者から見た病気です。言い換えると患者が体験する病気です。例えば、朝を起きて何かおなかが痛くて体調が優れないというように、病いは身体の不調として表れる現象なのです。それは、数で数えれるようなものではなく、体験として目の前に現れてくるのです。

なお、この疾患と病いを包有した概念を病気sicknessと言います。

医師のEric Casselは『「病い」とは患者が医師に会いに行くときに感じていることであり、「疾患」とは患者が診察室から家に帰るときに持って帰るものだ』と説明しています。

このように医療者は「疾患」を養成課程で学んでいくことに対して、患者は「病い」を生きていると言えるでしょう。医療者は「疾患」の専門家であるのに対して、患者は「病い」のプロフェッショナルであるとも考えられます。近年、pure supportの重要性が語られるのも、この患者のもつ病いに関する知が有益だと考えられているからだと思われます。

次回、もう少し両者の概念の関係性と実際の臨床にどのように関連するのかを考えたいと思います。

H.O.

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