社会心理学者の三浦麻子さんの著書
『「答えを急がない」ほうがうまくいくーあいまいな世界でよりよい判断をするための社会心理学』
より、人間関係の葛藤に関する部分がありました。
今回は主に医療者と患者ではなく、職員間の人間関係について考えてみます。
集団内の人間関係には、葛藤に関しての誤認知が起こる可能性が高く、
関係葛藤:価値観や性格のずれがあるのか
課題葛藤:お互いの主張の対立があるのか
この両者を分けて考える必要があります。
医療現場での人間関係
医療現場は、
医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、臨床心理士等
多職種で形成されており、
それぞれの職種が強い専門性を持っています。
また、同職種であっても、答えが明確ではないことも多々あり、
人間関係で悩むことは少なからずあると思います。
著書の中で、
関係葛藤と課題葛藤に分けて考えることの重要性を述べています。
関係葛藤と課題葛藤
まず、答えを急がずに、
精密性はないが素早く大まかに判断する『せっかちモード』から
慌てて判断せずに論理的に物事を判断する『じっくりモード』に変換し、
なぜ集団内で意見の相違が見られるのかを考えることが必要です。
人間関係に関しては、せっかちモードが働くことが多く、
性格や価値観の不一致によって生じていると思いがちです。
関係葛藤は、
物事に対する価値観や性格などによって生じる葛藤
課題葛藤は、
アイデアや意見のズレが原因で生じる葛藤
です。
関係葛藤が強く認知されると、感情的な『せっかちモード』が優位になり、
問題を回避したり誤魔化したりして、根本的な解決につながらず、集団パフォーマンスは低下します。
一方で、課題葛藤が強く認知された場合は、論理的思考の『じっくりモード』が優位になり、
統合的な対処行動をとることで集団パフォーマンスの向上につながります。
医療専門職それぞれの信念
医療現場においては、
それぞれの職種が、患者さんの治療やケアに最善の方法を考えます。
そこには、それぞれの信念が形成されているのではないかと思っています。
- 職種ごとの視点
- 経験に基づく判断
- 目標の違い
そのため、カンファレンス等で信念対立が生じることがあるのではないでしょうか?
一方で、これは関係葛藤ではなく、
課題葛藤である場合が多いと思います。
もともと我々医療従事者の対立は、ネガティブなことだけではありません。
感情的になりやすい『せっかちモード』から、
『じっくりモード』に変換することで、
より最適な患者さんへの治療やケアにつながるのではないでしょうか?
おわりに
医療者同士の対立は、必ずしもネガティブなものではありません。
それをどう認知し、どう扱うかによって、
- 分断にも
- 成長にも
なり得ます。
あなたの職場で起きている葛藤は、
関係葛藤でしょうか?
それとも課題葛藤でしょうか?
【参考文献】
1) 三浦麻子:「答えを急がない」ほうがうまくいくーあいまいな世界でよりよい判断をするための社会心理学.日経BP, pp137-141,2025.



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