なぜ、リハビリは“一生懸命”でなければならないのか

内省・関わり
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リハビリテーション効果は、患者さんの取り組み方に大きく影響します。
そして、社会的には「一生懸命に取り組むべきもの」と考えられています。

社会学者であるパーソンズは、「病気は生理学的な異常であると同時に社会的な逸脱の一種である」としています。
こうした「病人」という概念については、以前の記事『医療における病人とは?』で整理しています。

以下が、4つの病人役割(病人になったときに社会的に求められること)です。

  • 病人は、病気という状態に対して責任をとらなくてよい
  • 病人になると、その人に課せられる通常の社会的役割(例えば労働)の諸責任が免除される
  • 病人は、1日も早くもとの社会的役割を果たせるように努力しなければならない
  • 病人は、医療者の助言に従う義務がある

これらの背景から、

リハビリテーションは一生懸命に取り組むものとして、患者さんに役割を与えています。

自宅で夫婦で生活されていた高齢女性患者。
ある日の朝、玄関でつまずき、右大腿骨頚部骨折を受傷しました。
翌日に右人工骨頭置換術を受け、
術後1日目よりリハビリテーションが開始されました。


まず、右大腿骨頚部骨折に至った経緯に関して、医療者や周囲、社会から責任を問われるようなことはありません。
そして、病院では家事をしたり、地域の活動はできませんし、あるいは、仕事をされている方であれば、社会的な制度によって労働を免除されます。
その上で、入院したその日から、治療や手術による痛みに耐え、リハビリテーションに取り組み1日も早く社会に復帰できるように努力しないといけない。
再転倒や脱臼予防、歩行方法など、医療者の助言には従うべきだという義務を果たさなければなりません。

この病人としての社会的な役割を医療者も患者さんも感じているのだと思います。

ちなみに、病院ではなく、在宅や診療所、地域におけるプライマリケアを担う理学療法士における役割は、

  • 筋骨格系疾患に対するクライアント評価の実施
  • 健康増進・疾病予防への参加
  • 自己管理支援の促進
  • 患者とのコミュニケーション
  • 他の一次医療提供者やパートナーとの連携
  • 包括的ケアの提供

であると国外のスコーピングレビューにより明らかになっています。

社会が、それぞれにどのような役割を与えているか。
そして、その役割を押し付けてしまってはいないか
考えていく必要がありそうです。

【参考文献】

  1. 田中恒男.医療における患者の役割.糖尿病.1979;22(2):224-227.
  2. Champoux M et al. Roles of physiotherapists in primary care teams: a scoping review. BMJ Open. 2025 Feb 7;15(2):e092276. doi: 10.1136/bmjopen-2024-092276

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