以下は、ナラティブ研究会のワークショップにて議論した事例検討です。
事例を読んでみて立ち止まって考えてみていただけたらと思います。
※本事例は、ナラティブ研究会のワークショップ用に構成した完全に架空の事例です。
実在の人物・家族・医療機関・出来事とは一切関係ありません。
60代で脳卒中となった女性である.
彼女は,脳卒中により重篤な麻痺を呈し,自力で起き上がることもできず,トイレに行くのに多大な介助を要する.また,高次脳機能障害があり,時折記憶の混同なども見られた.加えて,失語症もあって言葉が流暢に話すことが難しかった.
この女性は夫,息子,息子の妻,孫2人(中学生)の6人家族であった.息子と息子の妻は仕事があり,夫は定年しているが不定期に仕事があった.
家族は自力で歩くことができ,トイレに行くことができることを希望した.
女性は自宅退院して家族と生活したいと述べ,時には感情失禁により涙したり不穏になることもしばしばであった.そのため,病院では部分的に拘束具を使用することがあった.
この女性を担当するチームでのカンファレンスでは家族の希望までの回復は望めず,家族の介助負担が増えることと精神状態等を考慮し,自宅退院が難しいと考えていた.
後日,家族にもその情報が説明され,家族は「それならばしょうがいない」と納得し,施設の手配を行うことになった.患者である女性に対しては精神状態を考慮し,施設に入所が決まってから家族から説明することになっていた.
- 本事例について,医療者の視点で考えたときに,どのような医療者の考えがあるでしょうか?
- 本事例について,家族の視点で考えたときに,どのような家族の考えがあるでしょうか?
- 本事例について,患者本人の視点で考えたときに,どのような本人の考えがあるでしょうか?
本稿では、判断の是非を問うことを目的としていません。
それぞれの立場から、どのような考えや迷いがあり得たのかを、立ち止まって考えるための問いとして提示しています。
ワークショップでは多くのご意見があり、多角的な視点で事例検討を行うことができました。



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