医療人類学者のアーサークラインマンが広めた
サファリング
について簡単に説明します。
サファリング(suffering):人がつらい・苦しいと感じていること
「個人が価値あるもの(身体、自己、家族、役割、将来)を失う、
あるいはそれらを失うと感じることによって生じる苦悩である。」
このサファリングを医療の視点で見ると、
病気だからつらいのではなく、つらいから病気
なのです。
サファリングは、疾患や症状そのものではなく、
その人の人生や関係性に与える意味に焦点を当てています。
この概念から考えていくと、
病気対処行動・医療の利用目的は、
サファリングを軽減するための行動であり、
動機はあくまでもサファリング。
よって、生活者は健康ではなく病いを基準に、
サファリングの増減に沿って思考・行動します。
残念ながら、医療はサファリングの示す問題の全体をカバーすることはできません。
個人レベルでは、つらくなければ、対処行動に移らないし、
つらさや不安が無くなると対処行動を止めます。
つまり、サファリングや不安は、納得できる物語を要求します。
そして、納得できる物語はHow(どのように)のみならずWhy(なぜ)を含みます。
このWhyの追求は、客観的な解釈のみではなく、個人の感情や考え方、人生観など、
主観的な解釈も含みます。
病むことの物語は、病むことに伴うサファリングの物語なのです。
病人はLIFEの文脈で病いを経験し、定義し、物語る。
今回ご紹介した概念は、過去の多くの投稿に関連しています。
『患者行動に影響を与える3つのセクター』
『どうして私は病気になったのか』
『数値は改善しているのに、満足していないように感じる』
【参考文献】
- 星野晋:医療者と生活者の物語が出会うところ.ナラティブと医療.江口重幸,斎藤清二,野村直樹編:金剛出版,東京,2006,pp77-81.



コメント