現場を変えるのは、一人の患者

ナラティブ・語り
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こんにちは。

このブログを読んでる方は、医療の臨床で働いている方がほとんどだと思います。

本日のお話は、

臨床が変わる時、一人の担当患者さんとの経験であることが多いということです。

私が文化人類学会に参加した際に、医療人類学者の先生

「医療は、量的データを重視するけど、臨床を変えるのは、一人の患者さんであることが多いですよね」

と言われました。

その方は、医療の場を研究対象としており、さまざまな医療機関や施設をフィールドワークしてきてこられた先生でした。

まさにそのとおり!

私がうっすらと思っていたことを、すらっと言葉にされており、感銘と少しの悔しさを感じたのを覚えています。

30秒の不在がつくった不安

車椅子に全介助(介護者が全面的に介助を行う状態)で何とか移乗ができる患者Aさんとのことです。Aさんは発声する力が弱っていて大きな声を出すことができませんでした。

リハビリをしていると、準備しておけばいいものの、途中で杖や歩行器等の補助具や装具が必要になることがありますよね?

ある日、Aさんとのリハビリ中に、長下肢装具が必要になり、車椅子に座っていたAさんに

「少し待っててください。リハビリの道具を取りに行ってきます。」

Aさんがうなずきました。

30秒程度だと思いますが、Aさんは大丈夫だろうかと確認しつつ、装具を取りに行きました。


Aさんは、車椅子座位は安定していたため、特に問題が起きることはなく、そのままリハビリを実施し、終えました。


病室に戻ったときに、Aさんが私に小さな声で、






「ベッドだとナースコールがあるけど、リハ室にはないので、急に誰もいなくなってしまったら不安になってしまいます。」

と私に話してくれました。

考えてみるとAさんの言う通りだなと私は思いました。

身体的には転倒のリスクも低く、「安全」な状態だったかもしれません。
しかしAさんにとっては、急にひとりになること自体が強い「不安」でした。


突然、身体の自由が取れなくなって、不安でいっぱいなところに、医療者が安全だと判断して、その場から離れてしまうことはよくないなと反省しました。

その経験を機に、患者さんから離れる際は、近くのスタッフにそばにいてもらうようにする。あるいは、患者さんに丁寧な説明をして承諾を得るように気をつけています。


“安全だったかどうか”と、”安心できていたかどうか”が、ずれていた経験は、皆さんにもあるのではないでしょうか?



こうした経験を振り返ると、医療人類学の先生が語っていた言葉を思い出します。



現場を変えるのは、一人の患者



医学的な技術や知識においても、患者さんとの関係性においても、一人ひとりの患者さんとの貴重な体験を大切にする必要があると思います。

読んでいただき、ありがとうございました。

T.A.

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