本日は、『「ふつう」ってなんだろう 病気と健康のあいだ』(講談社現代新書)を読んだ感想です。
筆者は、立命館大学大学院先端総合学術研究科教授で社会学者で、
神経内科の専門医でもある美馬達哉先生です。
本書の中では、馴染みのある疾患や、初めて聞く疾患、ニュースで話題になった社会問題などをもとに話が展開されております。
それらの背景にある社会的な文脈が記述されており、
一見自分達には関係のないことであるかと思いますが、
実際に読んでみると意外に身近に感じることだったりしました。
人間は生き物ですから、死を完全に避けることはできませし、同じように、病や障害を完全になくすこともできません。病や障害とともに生きていくことを肯定することも必要です。そのときには、「ふつう」を見直す文系の考え方が、大きなヒントになると思うのです。
『「ふつう」ってなんだろう 病気と健康のあいだ」(講談社現代新書)より
医学の「あたりまえ」は、世の中の「あたりまえ」の中でも、科学的で根拠のあるものであると思われています。
そのため特に医療者にとっては、多くの判断をする中で、これが「今できる最善である」とそう思うのではないでしょうか?
美馬先生が書かれているように、
病や医療の「あたりまえ」を社会・文化的な背景から立ち止まって見直そうと心がけることで、
我々は、社会的な規範や文化的価値観に強く影響を受けていることに気づくと思います。
そして、それは医療だけにとどまらず、
社会に対して「想像力」を働かすことができるようになるかと思います。
そもそも、社会学者や人類学者が医療の世界に興味を持つわけです。
私たちはとても社会や文化に影響を受けて形作られてきた、
特異的な世界に足を踏み入れたのかもしれません。
以前、文化人類学を専攻していた大学生が、
医学部医学科に入り直したという際のことを耳にしたことがあります。
その方は、医学科に入学して、
自分自身が一般の方とは明らかに違う医療者としての自分、
「医師化」していることを自覚されたようです。
私たちは、「ふつう」や「あたりまえ」に関して、
やや鈍感になっているのかもしれません。
今日、新たな病気の発見が多く発表されていますが、
そのことに関しても、社会的な文脈を理解すると、
新しい見方をすることができるようになると思います。
「あたりまえ」を問い直す。
そのことについて社会的な視点から実践させてくれる、そんな本でした。
ぜひ読んでみてください。
【参考文献】
- 美馬達哉 著(2026)『「ふつう」ってなんだろう 病気と健康のあいだ』,講談社現代新書.



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