今回のナラティブ研究会では、認知症者に対する家族介護者の対応をめぐる研究発表がありました。
議論の中で繰り返し話題になったのが「医療化」という概念です。
医療化(medicalization):以前ならば人生の苦悩(生老病死)や道徳的な課題(狂い、飲酒、性的逸脱)と捉えられてきたことが病理として再定義され、医療介入の対象となる現象
認知症も、かつては「ボケ」「痴呆」と呼ばれていたもの(過去の呼称であり現在は不適切)が、病態や原因が説明され、診断や治療、支援の枠組みの中で語られるようになってきました。そこには確かに、認知症が医療介入の対象となった歴史があります。
一方で、支援の入り口は「認知症ではないか?」という疑いになります。
けれど家族にとっては、本人のふるまいが「その人の人生の文脈」から外れて見えないこともある。違和感があっても、すぐに認知症の症状としては結びつかない。
今回の発表では、その「つながらなさ」が、支援の遅れや、家族・地域・医療の役割分担の難しさに絡んでいるように感じられました。
また、報告の中には、先行研究で十分に論じられてこなかった点が多く含まれており、とりわけ医療系の研究としては希少な示唆が含まれている印象でした。
今後、論文化に向けて整理されていくとのことなので、本ブログでも、公開可能な範囲で追って紹介していきたいと思います。



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