みなさんは、臨床現場でEBMを実践していますか?
- 根拠のない治療は実施しないようにしている。
- 最新の治療を提供するために日々論文を読んでいる。
- 患者さんの要望を聞きながら取り入れるようにしている。
医学は科学的であるべきですから、根拠のある医療、つまりEBMの実践は非常に重要です。
井関茜ら「理学療法士のプロフェッショナリズムの分析ー日本の理学療法学生へのアンケート結果に基づいてー」(2014)では、
4年生大学理学療法学科の学生に、
日本理学療法協会の作成した倫理規定や職業倫理ガイドライン、日本看護協会による看護者の倫理綱領、日本医師会による医師の職業倫理指針などを参考にして質問紙を作成し、
「理学療法士としてプロフェッショナルであるために各項目がどの程度当てはまるか、理想ではなくあなたの考えで回答してください」
という問いに対して5段階リッカート尺度で回答を求めました。
その後、学年ごとにカテゴリー別にの特典を比較しています。
その結果、
「自己研鑽」や「品行」、「研究」、「技術」、「知識」、「守秘義務」等の医療者として最低限遵守しなければならないこと、または遵守の必要性が自明であるカテゴリーについては各学年で有意差はありませんでしたが、
- IC(自己決定権)
- 患者が理解できるように、病状や治療の目的を説明する
- 治療の前に必ず患者の同意を得る
- 患者やその家族が、効果が低いと予想される特定の治療を要求した場合でもそれを実施する
- EBM
- 私たちは必ず科学に基づいた治療を行う
- チームワーク
- 他の医療専門職者と積極的に情報を共有し、連携する
- 他の医療従事者に理学療法に関わる助言、指導を行う
- 他の理学療法士と積極的に情報を共有し、治療方針を決定する
- 他の理学療法士に理学療法に関わる助言、指導を行う
- 同僚が専門職にふさわしくない行動をとった場合には指導する
の3つのカテゴリーでは、4年生は3年生と比較し、有意に低い結果となりました(4年生が必要性が低いと考えている)。
4年生と3年生では、長期にわたる実習を経験しているかという点で違いがあります。
考察でも述べられているように、これらのカテゴリーは「理論と臨床現場との乖離が存在し、自明な正解がなく、それぞれのケースで判断が分かれる部分」と重なります。
臨床の現場では、一般化されている「あるべき姿」がそのまま正解として適用できるとは限らない。そうした現実が示唆されているように思います。。
ここで、最初に記した問いに戻ります。
みなさんは、臨床現場でEBMを実践していますか?
EBMは「あるべき姿」として重要である一方で、臨床では状況によって判断が変わり得ます。
その意味でEBMは、「それさえ満たせば良い臨床になる」という十分条件ではありません。
また現実には、EBMの形式を厳密に満たすことが難しい場面があっても、患者さんにとって良い方向性を見いだす臨床は成立し得ます。
つまりEBMを否定したいのではなく、土台として参照しながら、その都度の文脈の中で臨床判断を組み立てていく必要があるのだと思います。
ぜひ今回参考にした論文をご一読ください。
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【参考文献】
- 井関茜,沖田一彦,島谷康司.理学療法士のプロフェッショナリズムの分析―日本の理学療法学生へのアンケート結果に基づいて―.理学療法科学.2014;29(4):599-604.



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