アーサー・クラインマンは、
病いがパターン化され、解釈され、治療されるプロセスを見るための方法として、
「説明モデル(Explanatory Model)
という言葉を作りました。
説明モデルは、
「臨床過程に従事するすべての人にとっての、病気のエピソードとその治療についての概念」
と定義されます。
説明モデルは治療者と患者さんのそれぞれがもっています。
今回は、患者さんの説明モデルについて考えてみます。
説明モデルをみる方法
患者さんの説明モデルをみる方法として、患者さんが症状に対して、どのように自問してきたかを紐解いていく方法があります。
以下の7点が病気になった時に患者さんが自問するであろう例です。
- 何が起こったのか
- なぜそれが起こったのか
- それがなぜ自分に起こったのか
- なぜ今なのか
- もし何もしなかったら自分はどうなるのか
- もし何もしなかったら家族や友人など他の人たちにどんな影響があるか
- 自分はどうするべきか
1.何が起こったのか
例えば、頭痛がして喉が痛いとき、「風邪をひいたみたいだ」と、症状から風邪という認識可能なパターンに分類します。
症状を認識できるパターンに落とし込みそれになまえを与えることが含まれます。
2.なぜそれが起こったのか
風邪を引いた原因を、急に寒くなったせいであったり、人の多い行事で風邪をもらってしまったと考えるかもしれません。
ここでは、病因論(病気の原因を広範な見地から研究すること)やその状態になった原因が説明されます。
3.それがなぜ自分に起こったのか
「最近、家事や仕事が忙しくて、抵抗力が落ちてしまったせいかな」などと考えることです。
これは患者さんの行動、パーソナリティといった患者さんの個人的な部分と病いを結びつけようとする質問です。
4.なぜ今なのか
急に症状が出てきたため、持病の悪化ではなく、風邪の発症と考えるかもしれません。
これは、急性か慢性かといった病いの発症の仕方、またそのタイミングに関係します。
5.もし何もしなかったら自分がどうなるか
「以前、同じような症状の時に、病院にもいかず、安静にもせずにいた結果、症状を長引かせてしまった。何も対策をしなかったら前と同じような結果になるのでは?」
これはどう病気が進行していくか、その結果、予後や危険についてです。
6.もし何もしなかったら家族や友人、他の人たちにどんな影響があるか
症状が長引き、仕事を休むことで、収入が減ってしまったり、職場に迷惑をかけることになったり、友達に会う約束をキャンセルせざる負えなくなるようなことが起きるかもしれません。
これは収入や仕事がなくなることや家族関係の緊張を含みます。
7.自分はどうすべきか
1~7を踏まえて、病院を受診して、安静にするという行動になるかもしれません。
誰に助けを求めるべきか。自己治療や、友人、家族に相談する、医師にかかるなど、その症状を治療するための戦略を立てます。
説明モデルのあいまいさ
患者さんの説明モデルは、
独特で変化しやすく、
個人的・文化的な要因から強く影響を受けます。
これらは意識的な部分もあれば意識していない部分もあり、
あいまいで複数の意味を持ち、
頻繁に変化します。
今回の説明モデルをみる方法というのは、
方法である一方で、医療者と患者さんで、
共同して、作り上げていくことも重要だと考えます。
この際、患者さんの説明モデルは、医学的にみると、
理解できないことも多々あります。
安易に否定するのではなく、医療者と患者さんの説明モデルを擦り合わせていく必要があると思います。
説明モデルに関しては、
以前に、『どうして私は病気になったのか?』でも投稿しています。
ぜひご覧ください。



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