理学療法士として、いま大切にしていること——30代後半からの覚え書き

理学療法士として、いま大切にしていること——30代後半からの覚え書き 内省・関わり

時々、自分が理学療法士に向いているのか考えることがあります。

向いているかどうか、正直なところよくわかりません。ただ、毎日仕事に行くのが嫌ではなく、今日も頑張ろうという気持ちでいます。

30代後半になった今、書き留めておこうと思いました。給与やキャリアアップの話ではありません。もっと根本的な、「どういう理学療法士でいたいか」についての、個人的な覚え書きです。

この仕事が好きであること

最初に挙げたいのは、理学療法士という仕事が好きであること、です。

「当たり前では?」と思われるかもしれません。でも、年数を重ねるほど、これが根幹にあるかどうかの差が大きくなってくると感じています。

好きだから、うまくいかない症例を夜中まで考え続けられます。好きだから、新しい知識や技術を得たときに素直に嬉しいと思えます。好きだから、患者さんとの関わりに多少の疲労感を抱えながらも、また翌朝リハビリ室へ向かうことができます。

自分自身、理学療法士という仕事を好きで居続けることができるように、常に探究する気持ちを持つことを心がけています。

トップダウンとボトムアップ、どちらも手放さない

臨床推論には、トップダウンとボトムアップというアプローチがあります。

経験年数が10年を超えると、トップダウンの正確性が強くなってきて、偏ってしまう時があります。一方で、ボトムアップの姿勢が大切だと感じることがあります。

トップダウンに偏ってしまうことは、小さな変化に気づくことができない可能性があります。また、新人の頃の成長はボトムアップが支えてきてくれたと思います。

両方を意識して行き来できること——これは今でも自分に言い聞かせていることです。

多職種の「架け橋」になる意識

理学療法士は、チーム医療の中でユニークなポジションにいると感じています。身体機能という専門性を持ちながら、生活や参加という広い文脈も見ます。患者さんとリハビリ室で長い時間を過ごし、その語りに触れる機会も多い。

医師・看護師・社会福祉士——さまざまな職種の中で、「つなぐ」役割を担えるのがセラピストではないか、と思っています。この「つなぎ役」の意識については、チーム医療のなかで、セラピストは何をつないでいるのかでも書いたことがあります。

架け橋になる意識があるかどうかで、カンファレンスでの発言が変わります。「私の専門分野の話」にとどまるのか、チーム全体の文脈から話すのか——その違いは、患者さんへの関わり方にも少しずつ影響していくように感じています。

わからないことを、わからないと言える

年数を重ねるほど、「わからない」と言うことが難しくなっていく気がします。

専門家としての立場があり、後輩の目があり、患者さんからの信頼がある。そのプレッシャーが、知らないことを「知っているふり」でやりすごす習慣をつくっていく——そんな構造に気づかされることがあります。

でも、わからないことをわからないと認めて、改めて学ぶことは弱さではないと今は思っています。医療専門家のあるべき姿とは?という記事でも考えましたが、社会が医療者に求める「完全な専門家」というイメージは、かなり重たいものです。そこに少し抵抗できる人でいたい、と感じています。

むしろ、わからないと言えなくなったとき、自分の臨床の質を向上させづらくなる。そう思うようになってきました。

すぐに判断しないこと

意見の違う同僚が、いる。感覚の違う患者さんが、いる。

そういうとき、ふと「この人とは合わないかもしれない」という感覚がよぎることがあります。それ自体は、自然な反応だと思っています。問題は、その感覚に従って関係を早々に閉じてしまうことではないか、と感じています。

「この患者さん、なんか苦手かも」と感じたときでも書いたように、先入観は気づかないうちに関係を狭めます。それは患者さんに対してだけでなく、同僚に対しても同じ構造があるように感じています。

すぐに判断しないこととは、待つことです。もう少し話を聞いてみること。「なぜこの人はこう感じているのか」を、すぐに結論づけずに少し保留にしておくこと。それだけで、見えてくるものが変わることがあります。

覚え書きとして

以上、5つのことを書きました。

これは「こうしなければならない」という話ではありません。30代後半になって、自分が大切にしたいと思っていることの、個人的な整理です。

若い頃は「資質」という言葉を、もっと特別なものとして考えていたかもしれません。でも今は、地味で地道なことの積み重ねに近いように感じています。仕事を好きでいること、複数の視点を持ち続けること、橋渡しの意識を持つこと、わからないと言えること、すぐに決めつけないこと。

どれも、一度身につければ終わりではなく、臨床のたびに確かめ直すようなことです。自分にできることを精一杯頑張っていこうと思います。

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