インタビューの3つの種類——構造化・半構造化・非構造化を整理する

インタビューの3つの種類——構造化・半構造化・非構造化を整理する 質的研究

抄読会や論文の「方法」の欄で、「半構造化インタビューを実施した」という一文を目にすることがあります。私も何度も読んできましたし、自分でも実施しましたし書いたこともあります。

一方で、構造化・半構造化・非構造化について知っておく必要があると思いました。

今回は、この3つの種類を整理してみたいと思います。

分けているのは、たったひとつのこと

心理学者のやまだようこは、インタビューの種類について、次のように書いています。

質問項目をどの程度研究者の側で強固に設定するかによって,構造化,半構造化,非構造化という用語が使われてきた。(やまだ, 2006)

要するに、3つを分けているのは「質問項目を、あらかじめどこまで決めておくか」という一点だけということです。

ここが私にとっては発見でした。3つの別々の手法があるのだと思い込んでいたのですが、そうではなく、ひとつの軸の上に並ぶ「程度の違い」だったのです。

質問項目を、あらかじめどこまで決めておくかしっかり決めるほとんど決めない構造化半構造化非構造化決めた項目をそのまま聞く項目は決めるが語りに沿って広げるわずかな質問から自由に語ってもらう3つは別々の手法というより、ひとつの軸の上にある「程度の違い」です。やまだようこ(2006)の記述をもとに作成

構造化インタビュー——決めた項目を、そのまま聞く

軸の左端が構造化インタビューです。やまだは、調査面接について「質問紙調査と同様に、質問項目が研究者の側で構造化され、その回答を直接相手に会って面接して聞く手法」と説明しています。

つまり、アンケート用紙に書かれている質問を、紙の代わりに人が読み上げて聞いていくようなイメージに近いと思います。誰に対しても同じ質問を、同じ順番で聞く。だから、答えを横並びでくらべやすくなります。

非構造化インタビュー——わずかな質問から、自由に語ってもらう

先に、軸の反対側を見てみます。やまだは非構造化インタビューについて、こう書いています。

わずかな質問で本題に入っていき,相手に自由に話を展開してもらいながら,こちらが聞きたい話題に焦点化して,相手の経験に深くかかわる語りを引きだしていかねばならない。(やまだ, 2006)

用意する質問は、ごくわずかです。あとは相手が語るのにまかせる。ただし「何でもいいので話してください」と放り出すわけではなく、聞き手は語りを追いながら、聞きたい話題へ少しずつ焦点をしぼっていきます。

つまり自由に見えて、実は聞き手の技量が問われる形式なのだと思います。やまだのこの論文自体、そのインタビュアーの「質問のしかた」を細かく分析したものでした。

半構造化インタビュー——決めておくが、語りに沿って広げる

両端がわかると、間にあるものが見えやすくなります。最も質的研究で採用される半構造化インタビューは、聞きたい項目はあらかじめ決めておくけれど、その順番どおりに進めるとは限らず、相手の語りに沿って広げたり深めたりしていく形式です。

具体的なイメージとして、社会学者の古賀正義が高校卒業生を追跡した調査の記述がわかりやすいと思います。

調査項目は,半構造化されており,進路の選択やその動機,離職後の様子,周囲の評価,将来の希望など,具体的な関係者の人名なども交えて2時間ほど聞くことになっていた。(古賀, 2009)

聞く柱(進路、離職後、周囲の評価、将来の希望)ははっきりしています。でも、そこに「具体的な関係者の人名」が交ざってくる。相手が語ったその人の話に沿って、話が広がっていったのだろうと想像します。柱はあるけれど、道筋は相手と一緒につくっていく。それが半構造化なのだと思います。

3つを並べてみる

構造化インタビュー半構造化インタビュー非構造化インタビュー
質問項目の事前設定強固に決めておく項目は決めるが、順序や深さは変えるほとんど決めない
進め方質問紙調査と同じように、決めた項目を面接で聞く決めた項目を手がかりにしながら、語りに沿って広げるわずかな質問で本題に入り、自由に話を展開してもらう
聞き手の役割聞き方をそろえる語りに応じて聞き方を調整する語りを追いながら焦点をしぼっていく
向いている場面同じ条件でくらべたいとき聞きたい軸はあるが、語りも大事にしたいとき何が語られるのか、それ自体を探りたいとき

※「質問項目の事前設定」「進め方」の行は、やまだようこ(2006)の記述にもとづきます。「聞き手の役割」「向いている場面」の行は、私なりの整理です。

型を選んだら終わり、ではない

ここまで整理してきて、けれど一番大事なのはこの先だと感じています。

古賀は、論文の冒頭でこう指摘しています。

従来インタビュー調査は,構造化された質問によって「本音」を引き出す作業と理解されやすかった。しかし,近年の構築主義的調査観では,インタビューは聞き手と語り手の共同行為であり,「語りうるもの」をめぐるネゴシエーションの政治力学的な産物であるとされる。(古賀, 2009)

少し難しい言い方ですが、要するにインタビューで語られたことは、相手の中にもともとあった「本音」を取り出したものではなく、聞き手と語り手のあいだで、その場でつくられたものだということです。

そう考えると、どの型を選ぶかは入口にすぎません。同じ半構造化を選んでも、聞き手が違えば、語られることは変わってくる。やまだが「インタビュアーの質問のしかたが重要である」と書いているのも、同じところを指していると思います。

「ネゴシエーションの政治力学的な産物」とても難しい表現だと思いますが、臨床で例えるとわかりやすいかもしれません。同じ患者さんでも、担当が変われば語られる内容は違います。あれは患者さんが本音を隠しているのではなくて、その関係のなかでしか語れないことがある、ということなのだろうと思っています。

どのインタビューを選択しても、聞き手と語り手の関係は影響します。私自身、インタビューの際は、場所や服装など細部まで気をつけるようにしています。知りたいナラティブを聞くためには、聞き手の準備と常に考えながら臨む姿勢が大切だと思ってます。

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参考文献:
やまだようこ(2006).「非構造化インタビューにおける問う技法——質問と語り直しプロセスのマイクロアナリシス」.『質的心理学研究』, 5, 194-216. J-STAGEで読む
古賀正義(2009).「録音素材から調べ構築するリアリティの重層性——インタビューのエスノグラフィーを実践する」.『社会学評論』, 60(1), 90-107. J-STAGEで読む
※ どちらもJ-STAGEで全文が無料公開されています。引用した箇所の前後もぜひ読んでみてください。

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