質的研究を学び始めたころ、何から手をつければいいのか分かりませんでした。M-GTA、コーディング、理論的飽和、トライアンギュレーション——本を開くと用語が次々に出てきますが、それが研究のどの段階の話なのかが見えてこないのです。
このページでは、このブログで書いてきた質的研究の記事を、研究の流れに沿って並べ直しました。上から順に読む必要はありません。いま引っかかっているところから読んでいただければと思います。
1. なぜ質的研究なのか
数値で示すことが重視されてきたリハビリテーションの領域で、あえて数字にしないデータを扱う。その理由から書いた記事です。まずここが腐に落ちないと、手法の話は頭に入ってこないと思います。
→ リハビリテーション分野と質的研究──数字に還元できない経験を、どう研究するか
→ 新たな視点を提示する質的研究とは——サンプル数では測れない価値
→ 「数分の発表のために」──リハビリテーション領域と質的研究、そして研究会を立ち上げた理由
→ 質的研究の困難さ
2. 何を明らかにしたいのかを決める
手法を選ぶ前に、何を知りたいのかを定めることになります。ここを飛ばすと、分析の途中で進めなくなります。
→ 質的研究のリサーチクエスチョンをどう立てるか——「どうしたらいいか」の前に
3. どう聞くか
インタビューには型があり、どこまで質問を決めておくかで呼び名が変わります。そして、語られた内容は聞き手との関係のなかで形づくられます。この2点を押さえておくと、データを見る目が変わると思います。
→ インタビューの3つの種類——構造化・半構造化・非構造化を整理する
→ インタビューの語りは「いま」つくられる——想起バイアスとエポケーの構え
4. どう分析するか
このブログで多く扱ってきたのがM-GTA(修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ)です。まず全体像をつかんでから、分析の道具と手順に進む並びにしています。
→ 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)とナラティブ(導入)
→ 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)とは何か──語りの文脈を守りながら、理論を生み出す質的研究法
分析の実際については、次の記事で扱っています。
→ M-GTAの分析ワークシートとは——語りを概念にする一枚の表
→ オープンコーディングと選択的コーディングとは——GTAの分析手順を整理する
そして、どこまでデータを集めれば終わりなのかという話です。
→ 「理論的サンプリング」という言葉の正確な意味——M-GTAにおける比較と確認の論理
→ 質的研究の理論的飽和とは?
5. 確からしさをどう示すか
質的研究では、統計的な有意差にあたるものがありません。では何をもって確からしいと言えるのか。ここは量的研究に慣れた人ほど引っかかるところだと思います。
→ 質的研究の妥当性、どう示せばいいのか——トライアンギュレーションと厚い記述という考え方
→ 綺麗な分析より、確からしさを多方面から——研究に必要な「判断」についての私見
6. どの立ち位置から研究するか
研究者は価値中立的な観察者なのか、それとも語りをともにつくる当事者なのか。手法の背後にある考え方の話です。最後に置いていますが、実は全体を貫いているところでもあります。
→ データをバラバラにしないこと——M-GTAが選ぶ「第三の道」
これから書きたいこと
こうして並べてみると、書けていないところがはっきりしました。正直に挙げておきます。
インタビューガイドの作り方。インタビューの種類は整理しましたが、では実際に手元の紙に何をどう書くのか、というところが抜けています。
倫理審査と同意の取り方。研究を始めようとする人が最初にぶつかるのは、たいていここだと思います。
逐語録の作り方とデータの扱い。聞いたあと、分析に入る前にやることが丸ごと空いています。
書けたら、このページに足していきます。
おわりに
こうして並べると研究の手順書のように見えますが、そういうつもりで書いてきたわけではありません。どの記事も、臨床で感じたもやもやをどう言葉にするか、というところから始まっています。
質的研究の方法は、そのための道具だと思っています。手順を守るためではなく、患者さんの語りを取りこぼさないために使うものとして、これからも書いていきます。


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